春日井シティ不動産のブログ
KASUGAI CITY REAL ESTATE
2026/06/21
Vol.122 離婚で家を売るべき?住み続けるべき?後悔しないために最初に確認したい「名義」と「住宅ローン」
「離婚することになったけれど、この家、どうすればいいんだろう」
離婚を考え始めたとき、夫の立場でも妻の立場でも、多くの方が最初に直面するのが「家」の問題です。人にはなかなか聞きにくく、かといって放っておけない。この記事では、離婚にあたって家をどうするかを、不動産の実務の観点から、正直に整理してお伝えします。法律の細かい手続きそのものより、「不動産として、まず何を確認し、どう動けばいいのか」という地図をお渡しするイメージです。
離婚は、けっして珍しいことではありません。全国の離婚件数は、2024年で約18万6千件にのぼります。そして実際には、ご相談に来られる方の多くは、離婚がすっかり決まったあとではなく、「離婚するかもしれない」「今、話し合っている最中」という段階です。条件がまだ固まっていなくても、まったく問題ありません。むしろ、決める前に家のことを整理しておくほうが、落ち着いて話し合いを進められます。
結論:家の扱いは3択。でも、その前に確認すべきは2つ
離婚のとき、家の扱いは大きく3つに分かれます。①売って分ける/②どちらかが住み続ける/③そのまま保有する。ただし、どれを選ぶにしても、その前に必ず確認しておくべきことが2つあります。「名義(誰のものか)」と「住宅ローンの残債(いくら残っているか)」です。この2つを押さえないと、どの選択肢も話が前に進みません。
離婚で家、3つの選択肢
- ① 売って分ける:家を売り、お金にして分ける。気持ちの面でも「リセット」しやすく、もっとも選ばれやすい方法です。
- ② どちらかが住み続ける:子どもの学校などの事情で、どちらかが住み続ける。ただし名義やローンの整理(後述)が必要で、手続きはやや複雑になります。
- ③ そのまま保有する:結論を先送りにする形。一見ラクですが、名義やローンを曖昧にしたままだと、後々トラブルになりやすい選択でもあります。
どれが正解かは、ご家庭の事情と、次の2つの確認事項しだいで変わります。
まず確認①「名義」——売れるのは名義人だけ
意外と見落とされがちですが、不動産を売れるのは、その名義人本人だけです。たとえばご自宅が夫名義であれば、売主になれるのは夫です。妻が「売りたい」と思っても、妻だけでは売却できず、名義人である夫の同意と協力が前提になります。
共有名義(夫婦の共有など)の場合は、名義人全員の同意が必要です。一人でも反対すると、売却は進められません。まずは登記簿(登記事項証明書)で、今の名義がどうなっているかを確認することが出発点になります。
なお、名義人ではないほうが住み続けるケースでは、注意が必要です。名義が相手のままだと、知らないうちに売却されてしまったり、相手がローンを滞納して家が競売にかけられたり、というリスクが残ります。住み続けるなら、名義の整理は避けて通れません。
ちなみに、共有名義(夫婦の共有)の場合は、二人とも所有者なので「売って分ける」という選択をとりやすい傾向があります。一方、単独名義の場合は、ここまでお伝えしたような支障(名義人しか売れない・住み続ける側のリスク・名義変更の難しさ)が出やすいため、より慎重に進める必要があります。まずはご自宅がどちらの名義になっているかを、確認してみてください。
まず確認②「住宅ローンの残債」——アンダーローンかオーバーローンか
もう一つの確認事項が、住宅ローンの残債です。ローンが残っている家には、その担保として「抵当権」がついています。売却するには、ローンを完済して、この抵当権を外す必要があります。
ここで分かれ道になるのが、売却代金でローンを完済できるかどうかです。
- アンダーローン(売却代金 > 残債):ローンを完済してもお金が残る状態。残ったお金を、財産分与として分けることができます。
- オーバーローン(売却代金 < 残債):売っても残債を返しきれない状態。差額を自己資金で補う必要があり、それが難しいと「売りたくても売れない」ことになります(任意売却などの方法を検討することになります)。この場合、プラスの財産が残らないため、原則として家は財産分与の対象にはならず、残った債務は名義人が支払い続ける義務を負います。
正確な残債は、金融機関から届く返済予定表などで確認できます。そして、売却代金がいくらになるかは、査定をして初めて分かります。つまり「アンダーかオーバーか」は、査定をするまで判断できないのです。
「家は財産分与の対象」——名義が夫でも、妻に関わる話
ここは誤解されやすいポイントです。結婚後に取得した家は、名義が誰であっても、夫婦が協力して築いた「共有財産」として財産分与の対象になります。たとえ夫の単独名義であっても、婚姻期間中に購入した家であれば、妻にも関わる財産だということです。「夫名義だから、妻には関係ない」わけではありません。
(なお、結婚前から所有していた家や、相続・贈与で得た家は、原則として財産分与の対象外とされています。)
売るタイミングも、考えておきたいところです。一般的には、離婚前に売っておくと、売却代金を共有財産として公平に分けやすいと言われます。一方、離婚後に分ける場合、財産分与の請求には原則として期限(離婚から2年以内)があるため、放置しすぎないことが大切です。
「どちらかが住み続ける」場合の注意点
売らずに、どちらかが住み続ける場合は、いくつかの手続きが必要になります。
- 名義変更・ローンの借り換え:住み続ける側に名義を変える、あるいはローンを借り換える、といった対応が必要になります。ただし、住宅ローンの名義変更は金融機関が原則として認めず、借り換えも、住み続ける側の収入によっては審査に通らないことが多いため、実際にはハードルが高い選択肢です。「理屈の上では可能でも、現実には難しい」ことが少なくありません。
- 連帯保証・連帯債務・ペアローン:夫婦のどちらかが相手の連帯保証人になっていたり、ペアローンを組んでいたりすると、話はさらに複雑です。片方が支払えなくなると、もう片方に支払いの義務が及びます。保証から抜けるには、借り換えなどの手当てが必要になります。
- 取り決めは書面に:「誰がどう支払う」「いつまでにどうする」といった約束は、口約束ではなく、公正証書などの書面で残しておくと安心です。
そして、実際にもっとも多いのが、名義人(たとえば夫)が家を出て、名義のない側(妻と子ども)が住み続け、ローンは引き続き名義人が払うという形です。子どもの学校を変えたくない、養育費の代わりに住まわせる、といった事情で選ばれます。気持ちとしては自然な選択ですが、不動産の実務から見ると、見過ごせないリスクがあります。
- ローン契約違反のリスク:住宅ローンは「契約者本人が住むこと」を前提にしているものが多く、名義人が出ていくと、契約違反として残債の一括返済を求められるおそれがあります。
- 滞納から競売になるリスク:住んでいない家のローンを、元の名義人が払い続けてくれるとは限りません。再婚や収入減で滞納されると、家が競売にかけられ、住んでいる側が退去を迫られることがあります。
- 無断で売られるリスク:名義が相手のままだと、相手の判断で、知らないうちに売却されてしまう可能性も残ります。
「公正証書で約束しておけば安心」と思われがちですが、公正証書は当事者どうしの約束を明確にするもので、金融機関がローンや抵当権をどう扱うかまでを縛る力はありません。こうしたリスクがあるからこそ、専門家は「いったん売って、きれいに精算する」ほうを勧めることが多いのです。住み続けたい気持ちと、これらのリスクを、天秤にかけて考える必要があります。
意外な落とし穴:「住み続けて分ける」ほうが、もめやすい
ここは、あまり語られませんが、とても大事なポイントです。同じ「家を分ける」でも、選ぶ方法によって”もめやすさ”が大きく変わります。
家を売って、現金で分ける場合は、実は比較的もめにくい方法です。なぜなら、お二人とも「少しでも高く売れたほうが、自分の取り分が増える」という点で、利害が一致しているからです。価格について、向かう方向が同じなのです。
ところが、一方が家に住み続けて、もう一方に「代償金(家の価値の半分など)」を支払う場合は、事情が逆になります。家の評価額をいくらにするかで、二人の利害が真っ向から対立するのです。
- 家に住み続ける側(代償金を払う側):評価額が低いほど、相手に払う金額が少なくて済む。だから「安く評価したい」。
- 家を出ていく側(代償金をもらう側):評価額が高いほど、受け取る金額が増える。だから「高く評価したい」。
同じ家なのに、立場によって「いくらと考えたいか」が正反対になる。これが、離婚の財産分与で評価額がもめやすい根本的な理由です。
さらに、家の評価には「これが正解」という1つの数字があるわけではなく、調べ方によって金額が変わります。実際の売却を想定した査定額、固定資産税評価額(時価のおおよそ7割程度とされ、実勢より低め)、不動産鑑定士による鑑定評価——どれを基準にするかで、額が大きく動きます。だからこそ、安く見せたい側が固定資産税評価額を持ち出す、といった主張の食い違いが起きがちです。
こうした対立を避けるための、現実的な進め方は次のとおりです。
- お互いが、それぞれ信頼できる不動産会社で査定を取り、極端に高い・低いものを除いて、すり合わせる。
- それでも折り合わない場合は、家庭裁判所の調停や、不動産鑑定士による鑑定評価(費用はかかりますが、客観的な資料になります)を検討する。
正直にお伝えすると、私たち不動産会社の無料査定は、「売るかどうか」「いくらで売れそうか」を判断するには十分役立ちますが、財産分与で深刻に争うときの“証拠資料”としては、不動産鑑定士の鑑定が必要になることもあります。当社では、その線引きも正直にお伝えしたうえで、必要に応じて専門家と連携します。
一番大事なのは、まず「家の価値」を知ること
ここまで読んでお分かりのとおり、離婚と家の話は、「名義」と「ローン残債」、そして「家がいくらで売れるか」がはっきりしないと、何も決められません。売るべきか、住み続けるべきか、いくら分けられるのか——すべての判断は、家の価値(査定額)を知ることから始まります。
ここで知っておいていただきたいことがあります。家を「売れる」のは名義人だけですが、家の価値を「査定で知る」ことは、名義のない側でもできます。財産分与では、名義のない側も当事者です。自分が住み続けるにしても、家を出るにしても、まず家の価値が分からなければ、相手の言い分が妥当かどうかも判断できません。実際、当社にも「名義は相手だけれど、いくらの価値があるのか知っておきたい」というご相談は少なくありません。まず“評価という共通の土台”を持つことが、その後の話し合いを冷静に進める助けになります。
そして、話し合いがこじれているときこそ、「いくらで売れるか」という客観的な数字が、感情を一度脇に置いて冷静に考えるための材料になります。揉めている状況だからこそ、まず数字を把握することに意味があるのです。
正直にお伝えすると、離婚の相談で実際に売却まで進む方は多くありませんが、まず査定で現実を知っておくことで、落ち着いて判断できるようになります。話し合いの途中で方向が変わることもあるので、ま現状を正確に把握しておくことには、大きな価値があります。
👉 関連記事:【相談実績】離婚するので、夫名義の自宅を売りたい(春日井市・50代女性)
法的な手続きは、弁護士など専門家へ
財産分与の割合、親権、慰謝料、調停離婚の進め方——こうした法律にかかわる部分は、弁護士など専門家の領域です。私たち不動産会社がお手伝いできるのは、家の査定と売却、名義やローンにまつわる不動産の実務の部分です。
当社では、不動産のご相談の中で必要に応じて、信頼できる弁護士をご紹介し、連携して進めることもできます。「不動産のことは当社、法律のことは専門家」と役割を分けて、ワンストップでお手伝いします。
よくあるご質問
Q. 家の名義が夫でも、妻に権利はありますか?
はい。結婚後に取得した家であれば、名義が夫だけであっても、夫婦の共有財産として財産分与の対象になります。「名義が夫だから妻は無関係」ということにはなりません。
Q. 住宅ローンが残っていても売れますか?
売却代金でローンを完済できる「アンダーローン」であれば売却できます。完済できない「オーバーローン」の場合は、差額の自己資金や、任意売却などの対応が必要になります。まずは査定で、売却額と残債の差を確認することが第一歩です。
Q. 売るなら、離婚の前と後、どちらがいいですか?
一般的には、離婚前に売っておくほうが、売却代金を共有財産として公平に分けやすいとされます。離婚後に分ける場合は、財産分与の請求に原則2年以内という期限があるため、先延ばしにしすぎないことが大切です。
Q. 共有名義(夫婦の共有)の場合はどうなりますか?
共有名義の家を売るには、名義人全員の同意が必要です。一人でも反対すると売却できません。まずはお二人で方針を話し合うこと、難しければ専門家を交えることが必要になります。
Q. 相手が売却に同意してくれない場合は?
売却には名義人の同意が前提です。同意が得られない場合は、まずは話し合いが必要で、財産分与の取り決めの中で整理していくことになります。こうした場面は、弁護士など専門家の力を借りるのが現実的です。
Q. 家の評価額で、相手ともめています。どうすれば?
一方が住み続けて代償金を払う形だと、評価額が高いか低いかで利害が対立し、もめやすくなります。現実的には、お互いが信頼できる不動産会社で査定を取り、極端なものを除いてすり合わせる方法が一般的です。それでも折り合わなければ、家庭裁判所の調停や、不動産鑑定士による鑑定評価を検討することになります。まずは当社のような不動産会社の査定で、おおよその相場観を共有するところから始めるのがおすすめです。
まとめ
- 離婚のときの家は「売る/どちらかが住み続ける/そのまま」の3択。でも、その前に「名義」と「住宅ローン残債」の確認が出発点
- 名義が夫でも、結婚後に取得した家は財産分与の対象。妻にも関わる話
- 売れるか・いくら残るかは、査定して残債との差を見るまで分からない。揉めていても、まず数字を把握することが第一歩
- 法律の手続きは弁護士、不動産のことは当社。査定だけ・相談だけでも大丈夫
👉 関連記事:不動産屋に相談すると何をするの?売ると決めていない段階でも大丈夫な理由
👉 関連ページ:離婚後の売却のお悩みについて
💬 「離婚にあたって、家をどうすればいいか分からない」という方へ。
名義やローンの状況によって、進め方は変わります。まずは「いくらで売れて、いくら残るのか」を、査定だけでもご確認ください。売ると決めていない段階や、財産分与の計算のためのご相談でも構いません。春日井シティ不動産が、現状の整理からお手伝いします。
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監修者情報

-
春日井シティ不動産株式会社
山本 直嗣
