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2026/05/30

Vol.112「あの不動産屋の査定は安すぎた」は本当か。後知恵バイアスと不動産査定の話

「別の不動産屋はもっと安い査定だったけど、結果的に高く売れたよ」「プロの査定って当てにならないんじゃない?」——たまにこういう話を聞きます。確かに相場より高く売れることはあります。ただそこには少し、誤解されやすい部分があります。

不動産査定は「予言」ではなく「確率の話」

まず大前提として、不動産査定は未来予測です。「この価格なら、現在の市場で、一定期間内に買い手が見つかる可能性が高い」という確率の話であって、「絶対にこの価格でしか売れません」という断言ではありません。市場は生き物で、金利・需要・タイミング・買主の事情によって常に動いています。

「後知恵バイアス」——結果が出た後は「当然だった」と思いやすい

心理学に「後知恵バイアス」という概念があります。人は結果が出た後に「あれは最初からわかっていた」「当然の結果だった」と思い込みやすいというものです。サッカーの試合でも株価でも同じで、結果を知ってから振り返ると「そうなるはずだった」と感じてしまう。不動産も例外ではありません。

ある土地を「相場は2,500万円」と査定したとします。売主が「3,000万円で出したい」と言い、たまたま隣地所有者が購入希望で3,000万円で成約したとします。このとき人はこう思いやすい——「やっぱり不動産屋の査定は安すぎた」と。でもこれは後知恵バイアスです。隣地の人が欲しがったのは偶然で、その偶然がなければ長期間売れ残っていた可能性もあったのです。

「たまたま」は現実に起きる——でも確率は低い

隣地の人が欲しがった・建築会社が土地不足だった・相続対策で急いでいた買主がいた——こういった「たまたま」は現実に起きます。ただそれは再現性がない偶然です。「高く売れた」が「最初からその価格が正しかった」を意味するわけではありません。

プロが見ているのは「最高値」ではなく「成功確率」

プロの査定は最高値を当てるゲームではありません。「どれくらいの期間で・どれくらいの確率で・どんな買主が・どういう条件で買うか」という成功確率を見ています。「もしかしたら3,000万円で売れるかもしれない」と「かなり高い確率で2,500万円なら売れる」は意味が全く違います。

「売れた価格」だけでは見えないもの

強気の価格で出して1年以上売れ残る・値下げを繰り返す・その間に相場が下がる——こういうケースは実際にたくさんあります。でも人は最後の結果だけを見ます。「最終的に売れたからよかった」は事実としても、「もっと早く・もっと良い条件で売れた可能性」は見えにくい。これが後知恵バイアスの怖いところです。

「絶対高く売れます」と断言する不動産屋を信じてはいけない

不動産に「絶対」はありません。景気も金利も需要も人の感情も、常に動いています。良い不動産屋とは「未来を断言する人」ではなく「リスクと可能性を正直に説明できる人」だと思っています。査定を依頼する時は「高い数字を出してくれる会社」より「現実的な根拠を説明してくれる会社」を選ぶことをおすすめします。

👉 関連記事:「査定価格」と「実際に売れる価格」はなぜ違う?不動産の価格が決まる仕組みを正直に解説

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