春日井シティ不動産のブログ
KASUGAI CITY REAL ESTATE
2026/06/10
相談実績22|親子間売買ってできるの?
「自分が持っているマンションを、子どもに買わせようかと思っているんですが、相談に乗ってもらえますか?」
いわゆる親子間売買のご相談をいただきました。ご自身が所有するマンションがたまたま子ども家族の生活に合った条件だったため、相続を待たずに今のうちに売買という形で名義を移したいというご事情でした。一見シンプルに思えますが、実際には第三者への売却より複雑で、知らないと損をする落とし穴がいくつかあります。今回はその話を書きます。なお税務に関わる部分は必ず税理士に確認してください。
なぜ親子間で売買するのか——よくある動機
親子間売買が検討される理由はいくつかあります。親が高齢になり資産を整理したい・子どもが親の家に住み続けたい・相続対策として生前に名義を移したい・親のローン返済を助けたいといったケースがあります。気持ちとしては自然なことですが、「家族間だから自由にできる」というわけにはいきません。
落とし穴①「みなし贈与」——安く売ると贈与税がかかる
親子間売買で最も注意が必要なのが「みなし贈与」です。時価より著しく安い価格で売買すると、税務署がその差額を「贈与」とみなして贈与税を課税することがあります。「家族間だから安く売ってあげたい」という気持ちはわかりますが、極端に安い価格での取引は思わぬ課税につながります。
一般的な目安として、不動産評価額の80%を下回らない価格での取引が求められます。今回の案件では相場より1割ほど安い価格での売買でしたが、90%程度であれば適正範囲内とみなされるため、みなし贈与には該当しませんでした。ただし「時価」の明確な基準は公開されていないため、不動産会社の査定額・路線価・不動産鑑定評価額なども参考にした上で、税理士に確認してから価格を決めることをおすすめします。
落とし穴②住宅ローンが組みにくい——ただし不可能ではない
子どもが購入する場合に住宅ローンを使いたいと考える方も多いですが、親族間売買は多くの金融機関で審査が厳しくなる傾向があります。理由は「融資したお金が本来の目的以外に使われるリスク」や「実質的な贈与ではないか」という懸念を金融機関が持つからです。大手銀行やネット銀行はほぼ取り扱い不可のケースが多いのが現状です。
ただし「絶対に組めない」というわけではありません。地方銀行・信用金庫は担当者や取引関係次第で対応してもらえるケースがあります。また「フラット35」は親族間売買でも利用できる場合があります。実際にこの案件では、親の取引先銀行との関係性があったことで住宅ローンが通りました。まずは取引関係のある地域の金融機関に相談することが現実的な選択肢です。いずれにしても事前に複数の金融機関に相談することをおすすめします。
落とし穴③税制上の特例が使えないケースがある
通常の不動産売却で使える税制上の優遇措置が、親族間売買では適用されないケースがあります。売主(親)が使えない可能性があるのは「3,000万円特別控除」です。これはマイホームを売った時に譲渡所得から3,000万円を控除できる特例ですが、生計を一にする親族への売却では適用されません。買主(子ども)が使えない可能性があるのは「住宅ローン控除」です。同一生計の親族間の売買では適用できないケースがあります。どちらも状況によって異なるため、事前に税理士への確認が必須です。
不動産会社を間に入れた方がいい理由
「家族間だから不動産会社は不要では」と思う方もいますが、親子間売買こそ専門家を間に入れることをおすすめします。今回の案件でも通常の売買と同様に、重要事項説明書・売買契約書をしっかり作成した上で進めました。親族間だからといって書類を省略することはありません。むしろ親族間売買は後から税務署・金融機関に説明を求められる可能性があるため、適正な手続きを踏んでいることを書面で残しておくことが重要です。不動産会社が関与することで取引の透明性が高まり、後のトラブルを防ぐことができます。また価格設定については税理士・登記手続きについては司法書士との連携も必要になります。
「贈与」の方がシンプルなケースもある
状況によっては「売買」より「贈与」の方がシンプルで有利なケースもあります。相続時精算課税制度や暦年贈与を活用することで、贈与税の負担を抑えながら名義を移す方法もあります。「売買か贈与かどちらが得か」は資産の規模・家族構成・相続の状況によって変わるため、税理士に相談した上で判断することをおすすめします。不動産会社だけでは答えが出ない問いです。
この相談から学べること
- 親子間売買は「家族だから自由にできる」ではない——適正価格・ローン・税制に注意が必要——みなし贈与・住宅ローン審査・税制特例の制限という3つの落とし穴を事前に把握しておく
- 価格は時価の80%以上が目安——税理士に確認してから決める——「安く売ってあげたい」という気持ちが思わぬ課税につながることがある
- 不動産会社・税理士・司法書士の三者連携が必要——一人で進めない——親族間売買は専門家を複数関与させることで、後のトラブルを防げる
- 「売買か贈与か」は状況次第——どちらが有利かは税理士に確認する——贈与の方がシンプルで有利なケースもある。決めつけずに専門家に相談を
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監修者情報

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春日井シティ不動産株式会社
山本 直嗣
