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2026/05/27

Vol.109 移転・廃業等で工場・倉庫を売りたい。知っておくべき現実とリスクの話

「工場を畳むことになって、土地と建物をどうするか考えないといけなくて…」

廃業・移転・事業縮小をきっかけに、使わなくなった工場・倉庫・店舗の売却相談をいただくことがあります。一般の住宅売却とは異なる点が多く、知らないまま進めると思わぬトラブルや損失につながることがあります。今回は事業用不動産の売却で必ず知っておくべきことを正直にお伝えします。

買手の探し方——まず「同じ用途で使える人」を探す

工場・倉庫・店舗の売却で最初に考えるのは「誰が買うか」です。一般住宅と違い、買主のターゲットが限られます。

最も現実的な買手は「同じ用途で使いたい事業者」です。製造業・物流・小売など、既存の建物をそのまま活用できる業種の事業者に需要がある場合、建物付きのまま売却できる可能性があります。建物を解体せずに売れれば解体費用の節約にもなります。

次に「建物を解体して土地として売る」パターンです。住宅地に近い立地・まとまった面積がある・接道条件が良いといった土地は、建売業者や住宅用地としての需要が見込めます。この場合は解体費用がかかりますが、買主層が広がるメリットがあります。

「住宅に囲まれた工場・倉庫」は要注意

昔は周辺に何もなかった場所でも、年月が経つうちに住宅が増えて気づけば住宅街の中に工場・倉庫が残っているというケースがあります。こういった物件では事業継続そのものが難しくなっていることがあります。

騒音・振動・臭い・トラックの出入りなどに対して、後から来た近隣住民からクレームが入るケースがあります。「昔からここで営業している」という事情は関係なく、近隣とのトラブルが慢性化するケースもあります。用途地域が変わっていて、本来その用途では営業できない状態になっていることも稀にあります。こういった物件は「売りにくい」というよりも「早めに整理を考えた方がいい」状況です。立地によっては住宅用地として高く売れるケースもあるので、早めに相談することをおすすめします。

工場跡地の土壌汚染——これが最大のリスク

工場跡地の売却で絶対に避けて通れないのが土壌汚染のリスクです。これは業種によっては売却の成否を大きく左右する問題です。

金属加工・化学・印刷・クリーニング・ガソリンスタンドなど、有害物質を扱う業種では土壌汚染が発生している可能性があります。「昔から使っていた土地だから大丈夫」という感覚は危険です。長年の操業で気づかないうちに地中に有害物質が浸透しているケースがあります。

土壌汚染調査は売主がやっておくべき理由

「調査せずに売ってしまえばいい」と思う方もいるかもしれませんが、それは大きなリスクを抱えたまま売るということです。

引渡し後に買主が土壌汚染を発見した場合、売主は契約不適合責任を問われる可能性があります。具体的には土壌調査費用・汚染除去工事費用の損害賠償請求・最悪の場合は契約解除という事態になりかねません。汚染の程度によっては除去費用が数千万円に及ぶこともあります。

「知らなかった」では済まないケースがあります。工場として使っていた以上、土壌汚染の可能性は「予見できた」と判断される可能性があるからです。売主として最も安全な対応は、売却前に自ら土壌汚染調査を実施し、結果を買主に正直に開示することです。

土壌汚染が発覚したらどうなるか

調査を実施して汚染が発覚した場合、売却価格に大きな影響が出ます。また買主が購入を取りやめるケースもあります。汚染の程度によっては除去工事が必要になり、その費用負担をどうするかが売買交渉の焦点になります。

ただし「汚染があると売れない」とは限りません。汚染の事実を価格に織り込んだ上で、汚染を前提として購入する事業者・投資家・専門業者が買主になることがあります。重要なのは隠さず正直に開示した上で、適正な価格で売却することです。「調査していない・汚染があるかもしれない」という曖昧な状態で売却するのが最もリスクが高いです。

事業用不動産の売却で重要な3つのポイント

  • ①買手のターゲットを最初に整理する——同用途の事業者・建売業者・土地としての活用など、物件の条件によって買主層が変わる。「誰に売るか」を先に考えることで価格設定・売却戦略が変わる
  • ②住宅地に囲まれた物件は早めに動く——近隣トラブルが発生してからでは売りにくくなる。立地によっては住宅用地として高値になる可能性もある
  • ③工場跡地は土壌汚染調査を先に実施する——調査せずに売ることは「リスクを買主に押し付ける」行為で、後から大きな責任を負う可能性がある。調査・開示・価格への織り込みがトラブルを防ぐ最善の方法

事業用不動産の売却は一般住宅の売却より複雑で、物件ごとに状況が大きく異なります。「売れるかどうかわからない」「土壌汚染が心配」「どこに相談すればいいか」という段階でも構いません。まず現状を整理するところからお手伝いします。

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