春日井シティ不動産のブログ
KASUGAI CITY REAL ESTATE
2026/05/27
相談実績19|離婚するので査定してほしい。財産分与と売却、それぞれの現実を整理します
「離婚することになって、財産分与のために家の査定をお願いしたいんですが…」
こういうご相談をいただくことがあります。非常にデリケートな状況でのご相談で、こちらも丁寧に対応するよう心がけています。ただ正直にお伝えすると、このケースから実際の売却につながることはほとんどありません。それでも「査定が役に立つ場面」と「役に立たない場面」があるので、今回は離婚と不動産という少し難しいテーマを整理してみます。
離婚時の不動産査定——多くは「財産分与の計算」が目的
離婚時に不動産査定を依頼してくる方の多くは、実際に売却したいわけではありません。財産分与の計算をするために「今この家がいくらの価値があるか」を知りたいというのが本来の目的です。相談者は奥様側が多く、名義は旦那様というケースがほとんどです。
離婚時の財産分与では、婚姻中に築いた財産を原則として2分の1ずつ分けることになります。不動産はその中でも大きな財産の一つです。「家の価値がいくらか」がわからないと分与の計算ができないため、査定が必要になるという流れです。
「財産分与のための査定」と「売却のための査定」は目的が違う
査定という言葉は同じですが、財産分与のための査定と売却のための査定は目的が異なります。売却のための査定は「この価格で売り出せば買手が見つかる可能性が高い」という販売価格の目安です。一方、財産分与のための査定は「現時点での市場価値を把握する」という目的です。
不動産会社の査定は無料で受けられますが、あくまで「不動産会社の見解」です。離婚調停や裁判になった場合、不動産会社の査定書ではなく不動産鑑定士による「不動産鑑定評価書」が必要になるケースがあります。鑑定評価書は費用がかかりますが(一般的に20〜30万円程度)、法的な効力という点では査定書より信頼性が高いとされます。どちらが必要かは状況や弁護士の判断によって変わるため、まず弁護士に相談することをおすすめします。
名義が配偶者の場合——査定はできるが売却は本人同意が必要
査定自体は名義人でなくても依頼できます。ただし実際に売却するには名義人本人の同意が必要です。名義が旦那様であれば、奥様だけの意思では売却を進めることができません。財産分与の合意・売却の合意・売却後の配分など、売却に向けては多くの合意が必要になります。
また住宅ローンが残っている場合はさらに複雑になります。ローンの名義・連帯保証人・残債と売却価格の差額をどう処理するかなど、金融機関との調整も必要になります。これらは不動産会社だけで解決できる問題ではなく、弁護士・司法書士との連携が必要です。
「査定から売却につながることはほとんどない」という現実
正直にお伝えすると、離婚に伴う査定相談から実際の売却依頼につながることはほとんどありません。理由はいくつかあります。財産分与の協議中で売却の合意まで至らない・離婚が成立しても名義人が売却に同意しない・最終的に一方が住み続けることになる・ローンの問題で売却できない——こういったケースが多いからです。
それでも査定相談をお断りすることはありません。「家の価値を知りたい」というのは正当なニーズですし、状況を整理するお手伝いをすることが不動産屋の役割の一つだと思っています。ただ「査定を依頼したら売却を迫られる」という心配は不要です。査定だけで終わっても構いません。
本当に売却が必要になった時にすべきこと
財産分与の協議が整い「やはり売却する」という結論になった場合は、改めてご相談ください。その段階では名義人・配偶者双方の合意が整った状態であることが前提になります。売却活動を進めるには媒介契約の締結が必要で、名義人本人のサインが必要です。
売却の進め方・価格設定・住宅ローンの残債処理・税金の問題など、不動産売却に関わることは全てお手伝いできます。ただ離婚に伴う法律的な問題・財産分与の合意形成は弁護士の領域です。不動産会社と弁護士、それぞれの専門家を適切に使うことが、複雑な状況をスムーズに整理するコツです。
この相談から学べること
- 財産分与のための査定と売却のための査定は目的が違う——どちらが必要かを先に整理する——調停・裁判になる場合は不動産鑑定士の鑑定評価書が必要になることがある。まず弁護士に確認を
- 名義人でなくても査定は依頼できる——ただし売却には名義人の同意が必須——査定=売却ではない。まず価値を把握することと、売却を進めることは別のステップ
- 住宅ローンが残っている場合はさらに複雑——金融機関・弁護士・不動産会社の連携が必要——残債と売却価格の差額処理・連帯保証人の問題など、早めに専門家に相談することが重要
- 「査定を頼んだら売却を迫られる」は誤解——査定だけで終わっても構わない——まず現状を把握することが最初の一歩。売ると決めていない段階での相談も歓迎します
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監修者情報

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春日井シティ不動産株式会社
山本 直嗣
