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2026/05/08

Vol.92 築50年マンション、これからどうなる?修繕積立金・建替え・売却の現実を解説

「古いマンションって、これからどうなるんですか?」

最近、こうした相談が少しずつ増えています。築40〜50年、昭和時代に建てられたマンションを所有している方から「このまま持っていて大丈夫なのか」という不安を聞くことが多くなりました。

これは決して大げさな心配ではありません。今後の日本では「老朽化マンション問題」が非常に大きなテーマになっていきます。この記事では現場の視点から正直にお伝えします。

日本の老朽化マンションの現状

国土交通省のデータによると、築40年超のマンションは2023年時点で全国に約125万戸。これが10年後には約260万戸、20年後には約445万戸に増加すると推計されています。高度成長期に大量供給されたマンションが、今まさに一斉に老朽化の時期を迎えています。

春日井市でも、高蔵寺ニュータウンを中心に昭和40〜50年代に建てられたマンション・団地が多数存在します。これらの建物が今後どうなるかは、所有者にとって避けられない問題です。

問題は「建物」だけではない。「人」が一番難しい

築古マンションで本当に難しいのは建物そのものより「所有者の問題」です。

  • 所有者の高齢化が進み、管理組合の担い手がいなくなる
  • 空室増加・賃貸化が進み、建物への関心が薄い所有者が増える
  • 相続で所有者が変わり、管理組合への参加意識が下がる
  • 修繕積立金の値上げを提案しても反対が多く進まない

管理組合が機能しなくなると、大規模修繕が進まない・修繕資金が積み上がらない・建物の状態が悪化するという悪循環が起きます。これが「管理不全マンション」問題の本質です。

修繕積立金が足りなくなる理由

マンションは外壁・屋上防水・配管・エレベーターなど定期的な大規模修繕が必要です。ところが多くの築古マンションで修繕積立金が不足しています。理由は3つあります。

  1. 分譲時に積立額を低く設定していた——購入者を集めるために月額を安く抑えたため、そもそも計画が甘かった
  2. 建築費・人件費・資材が高騰している——修繕工事のコストが当初の想定より大幅に上昇している
  3. 値上げの合意が取れない——区分所有者が多く、積立金値上げの議決が通らないことがある

積立金が不足したまま大規模修繕の時期を迎えると、一時金の追加徴収(1戸あたり数十〜数百万円)が発生するケースがあります。これを払えない所有者が出ると、修繕自体が進まなくなります。

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建替えは「制度」より「合意形成」が難しい

老朽化マンション問題への対策として、建替え・敷地売却・再開発を進めやすくする法整備が少しずつ進んでいます。建替え決議の要件緩和(4/5以上の同意→3/4以上に緩和する方向)なども議論されています。

しかし現場で感じるのは、法律が変わっても合意形成は簡単ではないという現実です。マンションには様々な立場の所有者がいます。

  • 高齢で住み続けたく、引越しができない人
  • お金をかけたくない・追加負担を払えない人
  • 賃貸投資として持っているだけで建物に関心が薄い人
  • 相続しただけで管理に積極的に関わりたくない人

建替えとなれば仮住まい・追加費用・将来への不安が伴います。「法律が緩和されれば解決する」ほど単純ではありません。

これからは「売れるマンション」と「厳しいマンション」の差が広がる

売れ続けやすいマンション今後厳しくなる可能性があるマンション
駅から徒歩圏内・立地が良い駅から遠い・バス便のみ
管理組合が機能している管理不全・管理費滞納が多い
修繕積立金が計画的に積み上がっている修繕積立金が不足している
修繕履歴がしっかり記録されている大規模修繕が長期間行われていない
空室が少なく所有者が居住している空室多・賃貸化が進んでいる

「築古だから売れない」ではなく、「管理状態と立地によって差がある」というのが実態です。同じ築50年でも、管理が良いマンションは今でも売れています。

住み続ける人と、使う予定がない人では考え方が違う

今実際に住んでいて生活の基盤になっている方は、無理に不安になる必要はありません。ただし、以下のような場合は状況を冷静に整理することをおすすめします。

  • 相続したまま空室で、将来住む予定もない
  • 賃貸に出しているが空室が続いている
  • 管理費・修繕積立金・固定資産税を払い続けているが出口が見えない

使う予定がない築古マンションは、時間が経つほど管理費・積立金の負担が増え、売却もしにくくなる可能性があります。「今なら売れる」が、「10年後も同じ」とは限りません。

まとめ

  • 築40年超のマンションは全国で急増中。今後さらに深刻化する見通し
  • 問題の本質は建物だけでなく「所有者の高齢化・管理不全」
  • 修繕積立金の不足は建築費高騰と合意形成の難しさが原因
  • 建替えは法整備が進んでいるが合意形成は依然として難しい
  • 今後は「管理が機能しているマンション」と「管理不全マンション」の格差が広がる
  • 使う予定がない築古マンションは、まだ市場性があるうちに整理することも選択肢

「どうなるかわからないから不安」という状態が一番消耗します。まず現状を整理して、自分がどのケースに当てはまるかを確認することが第一歩です。

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