春日井シティ不動産のブログ
KASUGAI CITY REAL ESTATE
2026/10/07
Vol.136 親が介護施設へ入ることになったら実家はどうする?売却前に確認したい本人の意思と判断基準【春日井市】
親が老人ホームや介護施設へ入ることになり、それまで暮らしていた実家が空く。
そのとき、ご家族からよく聞くのが、次のような悩みです。
- 実家はすぐに売ったほうがいいのか
- 施設の費用に売却代金を充てるべきか
- 親が実家へ戻りたがったらどうするのか
- 認知症が進んでいても、子どもが代わりに売れるのか
- 家を残した場合、誰が管理するのか
結論からいうと、介護施設へ入るからといって、すぐに実家を売る必要はありません。
ただし、そのまま何も決めずに置いておくのもおすすめできません。親御さん本人の意思、実家へ戻る可能性、今後の施設費用、空き家の管理負担を整理したうえで、売る・残す・貸すなどの選択肢を比較する必要があります。
そして、不動産売却を考えるうえで最初に確認しなければならないのが、所有者である親御さんに、売却について判断できる意思能力があるかという点です。
この記事でいう「介護施設」とは
一般には「老人ホーム」とまとめて呼ばれることもありますが、高齢者が生活する施設や住まいには、さまざまな種類があります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 認知症対応型グループホーム
- 介護付き・住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
施設によって、入居条件、介護サービス、費用、入居期間は異なります。比較的費用の高い有料老人ホームもあれば、介護の必要性が高い方を対象とする公的な施設もあります。
そのため、「施設に入る人は資金に余裕がある」「実家を売らなくても困らない」とは限りません。預貯金は多くなくても、長年住んできた自宅を所有しているという方も少なくありません。
最初の確認は、親御さん本人の意思能力
実家が親御さん名義であれば、売るかどうかを決めるのは所有者である親御さん本人です。
子どもが「もう実家へ戻れないだろう」「施設費用が必要だから」と判断して、親名義の不動産を勝手に売ることはできません。
本人が売却内容を理解し、自分の意思を示せる場合
親御さんが、売却する不動産、価格の目安、売った後は実家へ戻れなくなること、売却代金をどうするかなどを理解し、自分の意思で売却を希望している場合は、通常の売却を検討できます。
身体が不自由で不動産会社へ出向けなくても、施設や病院への訪問、オンラインでの説明など、状況に応じた方法を検討できます。ただし、ご家族が手続きを手伝う場合も、親御さん本人の売却意思の確認は必要です。
意思能力があるか判断しにくい場合
物忘れがある、認知症と診断されているという理由だけで、直ちに売却できないと決まるわけではありません。一方で、日常会話ができるから必ず売却できるとも限りません。
重要なのは、不動産売却という契約の内容と結果を、本人が理解して判断できるかです。判断に不安がある場合は契約を急がず、司法書士や弁護士などの専門家とも連携して確認します。
本人が売却を判断することが難しい場合
親御さんに売却を判断する意思能力がない場合、子どもが代わりに署名するだけでは売却できません。成年後見制度など、本人の財産を適切に管理するための法的な手続きが必要になることがあります。
また、成年後見人が選任されていても、親御さんが施設へ入る前に住んでいた家は「居住用不動産」として扱われ、売却や賃貸、取り壊しなどに家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
詳しくは、裁判所の「裁判手続 家事事件Q&A」もご確認ください。
「認知症になる前に急いで売りましょう」という話ではありません。
元気なうちに、親御さんが実家をどうしたいのかを家族で確認し、必要であれば査定額や維持費を調べておくことが大切です。売らないという結論になっても、事前に話し合ったことには意味があります。
介護施設への入所をきっかけに実家を売るのは、どんな人か
1.預貯金よりも自宅に資産が偏っている
自宅は所有していても、施設の入居費用や毎月の利用料を長期間支払えるほど預貯金が多くないケースです。
この場合は、査定価格だけでなく、仲介手数料、測量、登記、残置物処分、解体、税金などを見込んだうえで、売却後に実際いくら残るのかを確認する必要があります。
2.親御さんが実家へ戻る可能性が低い
施設での生活が長期になる見込みで、医療や介護の面からも一人暮らしへ戻ることが難しいケースです。
ただし、体験入居や入居直後は、施設が合わずに退去する可能性もあります。親御さんが自宅へ戻りたいと考えている段階で、急いで売却を決めるべきではありません。
3.子どもや親族が実家を使う予定がない
子どもはすでに自宅を持っている、遠方に住んでいる、春日井市へ戻る予定がないという家庭です。
誰も使わない家を残すと、固定資産税、火災保険、草刈り、庭木の剪定、換気、清掃、修繕、防犯、近隣対応などの負担が続きます。ご家族が無理なく管理を続けられるかも、売却判断の一つです。
4.施設費用には困っていないが、空き家を残したくない
資金に余裕があっても、子どもへ空き家や管理負担を残さないため、生前整理として自宅を売却する方もいます。
この場合は、急いで現金化する必要がないため、親御さんの希望を確認しながら、売却時期や条件を慎重に決められます。
すぐに売らず、いったん残したほうがよいケース
- 体験入居や短期入所で、今後の生活がまだ決まっていない
- 親御さんが実家へ戻ることを希望している
- 施設が合わなかった場合の住まいが決まっていない
- 売却について親御さん本人が納得していない
- 意思能力や売却権限の確認ができていない
- 入居費用の支払期限を理由に、相場より安く急いで売ろうとしている
売却を待つ場合も、そのまま放置するのではなく、「入居から3か月後にもう一度検討する」など、見直す時期を家族で決めておきましょう。
実家を残す場合も、空き家管理は必要
人が住まなくなった家は、換気不足、雨漏り、給排水設備の不具合、庭木や雑草、防犯などの問題が起きやすくなります。
実家を残すなら、少なくとも次の点を決めておく必要があります。
- 誰が、どのくらいの頻度で見に行くか
- 郵便物や庭木、雑草をどう管理するか
- 電気・水道・ガスをどうするか
- 火災保険を継続できるか
- 室内の家財や貴重品をどうするか
- いつまで残し、いつ再検討するか
ご家族が遠方に住んでいる場合は、無理に帰省を繰り返さず、空き家管理を依頼する方法もあります。遠方から実家を売却する場合の進め方は「Vol.6 県外から春日井市の実家を売る方法」でも解説しています。
貸す選択は、戻る可能性と費用を確認してから
「空き家にしておくより、貸したほうがよいのでは」と考える方もいます。
ただし、賃貸すると、親御さんが戻りたくなってもすぐに明け渡してもらえるとは限りません。また、築年数や建物の状態によっては、修繕や設備交換にまとまった費用がかかります。
想定家賃だけで判断せず、リフォーム費用、管理費、固定資産税、将来の修繕費、空室期間を含めて収支を確認することが大切です。
施設費用は「査定価格」ではなく「手取り額」で考える
実家の売却代金を施設費用に充てる場合、査定価格がそのまま手元に残るわけではありません。
- 仲介手数料
- 測量費用
- 登記費用
- 残置物の処分費用
- 建物の解体費用
- 契約条件によって必要になる修繕・撤去費用
- 譲渡所得が生じた場合の税金
春日井シティ不動産では、査定額だけでなく、必要になりそうな経費を整理し、概算の手取り額まで確認できるようにご提案します。残置物や解体費用についても、必要に応じて専門業者の見積もりを手配できます。
また、以前住んでいた自宅を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するなどの要件があります。
税金の特例は個別条件によって適用が異なるため、詳しくは税務署または税理士へご確認ください。国税庁の「過去に居住していたマイホームを売ったとき」も参考になります。
介護施設への入所前後に確認したい5つのこと
- 実家の名義と、親御さんの意思能力を確認する
誰が所有者なのか、本人が売却を理解して判断できる状態かを確認します。 - 実家へ戻る可能性を確認する
体験入居なのか長期入所なのか、施設が合わなかった場合の住まいも含めて考えます。 - 施設費用と預貯金、年金を整理する
入居時の費用だけでなく、毎月の利用料を何年支払えるかを確認します。 - 実家の査定額と概算手取りを確認する
売却を決める前でも構いません。価格と経費を知ることで、残す場合との比較ができます。 - 家族で方針と見直し時期を共有する
売る、残す、貸す、家族が使うという選択肢を比較し、今すぐ決めない場合は再検討する時期も決めます。
実際に、施設入所中の親御さんの実家を売却した事例
春日井市神領町では、お父様が施設へ入所中で、判断能力が低下する前に実家を整理したいというご家族からご相談を受けました。
この事例では、築50年以上の実家に加えて貸家もあり、建物の解体だけでなく、入居者との調整も必要でした。ご家族の希望と物件の状況を整理し、最終的には賃貸マンションを建築する法人への売却につながりました。
詳しくは「成約事例6|実家の売却|春日井市神領町」をご覧ください。
まとめ|売るかどうかを決める前に、親御さんの意思と数字を確認する
- 介護施設へ入るからといって、すぐ実家を売る必要はない
- 入居直後は、実家へ戻る可能性も考える
- 実家の売却は、所有者本人の意思能力の確認が最初の分岐点
- 意思能力が不十分な場合、子どもの判断だけでは売却できない
- 施設費用は、査定価格ではなく売却後の手取り額で考える
- 売らずに残す場合も、管理方法と再検討の時期を決める
大切なのは、「認知症になる前に急いで売る」ことではありません。親御さんがどうしたいのかを確認し、家族の負担、施設費用、実家の価値を数字で整理したうえで、納得できる方法を選ぶことです。
売却を決める前の段階でご相談ください
親御さんの意思、実家へ戻る可能性、空き家の管理、施設費用、売却した場合の経費と手取り額を整理し、売る・残す・貸す選択肢をご一緒に考えます。まだ売ると決めていない段階でもご相談いただけます。
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監修者情報

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春日井シティ不動産株式会社
山本 直嗣
