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2026/10/08

Vol.137 土地の取得費が分からないときは?売却価格の5%で計算する前に探したい資料

「親から相続した土地を売りたいけれど、昔の売買契約書が見つからない」

「購入価格が分からない場合は、売却価格の5%で計算すると聞いた」

古い土地や実家の売却では、このような相談が少なくありません。

取得費が分からない場合、売却価格の5%を「概算取得費」として計算することはできます。ただし、資料が見つからないからといって、最初から5%でしか計算できないと決める必要はありません。

実際の購入価格が5%より高かった土地では、取得費を確認できるかどうかによって、税額が大きく変わることがあります。売買契約書が見当たらなくても、まずは購入時の資料やお金の動きが分かる記録を探すことが大切です。

まず結論

  • 取得費とは、土地・建物の購入代金や購入時の手数料などです。
  • 取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費にできます。
  • 5%を使う前に、売買契約書、領収書、通帳、住宅ローン関係書類などを探します。
  • 相続した不動産は、原則として亡くなった方の取得費と取得時期を引き継ぎます。
  • 固定資産税評価額や相続税評価額を、そのまま取得費にすることはできません。
  • 売買契約書以外の資料で取得費を説明できるかは、税務署または税理士へ確認します。

そもそも「取得費」とは何か

土地や建物を売却したときの譲渡所得は、基本的に次の式で計算します。

譲渡所得 = 売却代金 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

取得費は、売却する不動産を取得するためにかかった金額です。主なものには、次のような費用があります。

  • 土地・建物の購入代金
  • 建物の建築代金
  • 購入時の仲介手数料
  • 購入時の登録免許税・登記費用
  • 不動産取得税
  • 購入契約書に貼った印紙代
  • 土地の造成費・改良費など

建物については、購入代金や建築代金をそのまま取得費にできるわけではありません。所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

また、住宅ローンの返済額や毎年の固定資産税は、取得費としてそのまま差し引くものではありません。何が取得費に含まれるかは、支出の内容によって判断します。

取得費が分からないときの「5%ルール」

国税庁は、先祖代々の土地や古くに購入した不動産など、取得費が分からない場合には、売却価格の5%相当額を取得費にできると案内しています。これを概算取得費といいます。

概算取得費 = 売却価格 × 5%

例えば、土地を3,000万円で売却し、取得費が分からない場合の概算取得費は150万円です。

実際の取得費が売却価格の5%より少ない場合も、5%相当額を取得費として計算できます。

ただし、概算取得費を選んだ場合、購入代金や購入時の仲介手数料などの実額と、5%相当額を組み合わせて計算することはできません。実額で計算するか、概算取得費を使うかのどちらかになります。

5%で計算すると税額が大きくなることがある

概算取得費は、資料がまったく残っていないときに利用できる方法です。しかし、実際の購入価格が高かった不動産では、取得費が大幅に小さくなり、譲渡所得が大きく計算されることがあります。

土地の売却価格取得費の計算取得費
3,000万円実際の購入価格を確認できた場合1,200万円
3,000万円売却価格の5%で計算する場合150万円

この例では、取得費に1,050万円の差が生じます。ほかの条件が同じで、一般の長期譲渡所得の税率20.315%で単純計算すると、税額の差は約213万円です。

実際の税額は、譲渡費用、特別控除、建物の減価償却、所有期間などによって変わります。それでも、昔の資料を探す意味が大きいことは分かります。

売買契約書がないときに探したい資料

まずは、購入価格や購入時の支払いを確認できる資料が残っていないか探します。

購入時に受け取った書類

  • 売買契約書・領収書
  • 重要事項説明書
  • 決済時の精算書
  • 仲介手数料の請求書・領収書
  • 登記費用や不動産取得税の資料

建物に関する書類

  • 建築請負契約書
  • 工事代金の見積書・請求書・領収書
  • 増築や大規模改修の契約書・領収書
  • 建築会社やハウスメーカーから受け取った引渡し書類

お金の動きが分かる資料

  • 住宅ローン・不動産購入ローンの契約書
  • 金融機関の融資実行通知書・返済予定表
  • 預金通帳や振込記録
  • 購入資金の出金が分かる金融機関の記録

価格を確認する手掛かりになる資料

  • 分譲時のパンフレット・価格表
  • 購入当時の不動産会社や分譲会社との手紙
  • 購入について記録した家計簿やメモ
  • 相続手続きの際にまとめた被相続人の財産資料

これらの資料があれば、直ちにその金額を取得費として使えるとは限りません。ただし、売買契約書がない場合でも、購入価格や支払いの事実を説明するための材料になる可能性があります。

資料が一つ見つかっただけで自己判断せず、複数の記録をそろえて税務署または税理士へ確認してください。

登記事項証明書や固定資産税評価額だけでは購入価格は分からない

法務局で取得する登記事項証明書には、売買や相続などの登記原因と日付は記載されていますが、通常は購入価格まで記載されていません。

また、固定資産税の納税通知書に記載されている評価額は、固定資産税を計算するための価格です。実際の購入価格とは目的が違うため、そのまま取得費として使用するものではありません。

相続税申告書に記載された相続税評価額も、亡くなった方の購入価格に置き換わるものではありません。

相続した土地は、亡くなった方の取得費を引き継ぐ

相続した土地・建物を売却する場合、原則として、亡くなった方が購入したときの取得費を引き継ぎます。

例えば、親が1,000万円で購入した土地を相続した場合、相続時の固定資産税評価額ではなく、親の購入代金などを基に取得費を計算します。

取得時期も亡くなった方から引き継ぎます。相続してからすぐ売却した場合でも、所有期間は親が取得した時から数えるのが基本です。

そのため、相続後に資料を探す場合は、相続人の書類だけでなく、亡くなった方が保管していた契約書、通帳、ローン関係書類なども確認します。

土地と建物を一括で購入している場合の注意点

中古住宅など、土地と建物をまとめて購入している場合は、契約書に土地と建物の金額が分けて書かれているか確認します。

建物の取得費は減価償却費相当額を差し引くため、土地と建物の購入価格をどのように分けるかによって計算結果が変わります。

契約書に総額しか記載されていない場合、消費税額や当時の評価資料などから区分できるケースもありますが、計算方法は個別判断になります。税理士または税務署へ確認してください。

資料を探す順番

  1. 実家の書類を確認する
    権利証・登記識別情報だけでなく、契約書、領収書、建築関係書類、古い通帳を確認します。
  2. 家族や共有者に確認する
    ほかの相続人や共有者が、購入時の資料を保管していることがあります。
  3. 金融機関や当時の関係会社へ問い合わせる
    記録の保存期間を過ぎている可能性はありますが、借入先、仲介会社、分譲会社、建築会社が分かる場合は確認します。
  4. 見つかった資料を時系列で整理する
    購入日、契約金額、支払日、借入額、領収書などの関係が分かるようにまとめます。
  5. 申告に使えるか専門家へ確認する
    売買契約書以外の資料を取得費の根拠にできるか、税務署または税理士に確認します。

売却が決まってから慌てて探すよりも、査定や売却相談と並行して早めに確認する方が進めやすくなります。

取得費の確認と売却準備は同時に進められる

取得費が確定していなくても、不動産の査定や売却方法の検討は始められます。

不動産会社は税額を最終決定したり、税務申告を代行したりすることはできません。ただし、売却価格の査定、仲介手数料、測量、解体、残置物処分などを整理し、税理士へ確認するための資料を準備することはできます。

売却価格だけを見るのではなく、取得費が実額の場合と5%の場合の両方で概算し、手元に残る金額がどの程度変わるかを確認しておくと、売却判断がしやすくなります。

まとめ|契約書がなくても、5%で決める前に資料を探す

  • 取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費にできる
  • 実際の購入価格が高い場合、5%計算では税額が大きくなる可能性がある
  • 売買契約書だけでなく、領収書、ローン書類、通帳、分譲時資料なども探す
  • 固定資産税評価額や相続税評価額は、そのまま取得費にはならない
  • 相続した不動産は、亡くなった方の取得費と取得時期を引き継ぐ
  • 見つかった資料を申告に使えるかは、税務署または税理士へ確認する

参考:国税庁の案内

取得費の資料が見つからない段階でもご相談ください

春日井市の土地・実家・相続不動産について、売却価格だけでなく、仲介手数料・測量・解体などの経費を整理します。取得費を実額で確認できる場合と5%で計算する場合の違いも踏まえ、売却後の手取りを考えるための材料をご説明します。

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