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2026/10/05

Vol.135 検査済証がない家は売れる?確認済証との違いと、売却前に確認すること

「家を売ろうと思って書類を探したら、確認済証も検査済証も見当たらないんです」

実家を相続された方から、よくいただく相談です。押し入れも仏間の引き出しも探したけれど出てこない。これでは売れないのではないか、と不安になって連絡をくださいます。

結論から申し上げます。書類がないこと自体で、売買ができなくなるわけではありません。ただ、買う方が誰で、買ったあとその家をどうしたいかによって、影響の大きさがまったく変わります。

そして2025年4月の法改正で、影響が出る場面が増えました。以前と同じ感覚で考えていると、話が違ってきます。

確認済証と検査済証は、別の書類です

よく混同されるので、先に整理しておきます。

書類いつ出るか何を証明するか
確認済証工事を始める前設計の内容が法令に合っていることを確認した
検査済証工事が完了したあと設計どおりに建てられたことを検査して合格した

つまり、確認済証は「建ててよい」という入口の証明、検査済証は「ちゃんと建った」という出口の証明です。

そして実務でよく出会うのは、確認済証はあるのに検査済証がないというパターンです。工事を始める手続きは踏んだけれど、完成後の検査を受けていない。昔はこれが珍しくありませんでした。

ですから「うちの家だけ何か問題があったのでは」と心配される必要はありません。同じ年代に建った家の多くが、同じ状態です。

図面も含めた書類全般の話は、Vol.23 建築当時の図面がない。それでも家は売れる?に書いています。

「無い」のか、「手元にないだけ」なのか

ここが一番大事なところです。

多くの方が、書類が見つからない時点で「無い家」だと思ってしまいます。でも実際には、手元から失われているだけで、行政には記録が残っていることがあります。

まず、再発行はできません

確認済証も検査済証も、一度交付されたら再発行はされません。「役所でもう一度出してもらえばいい」とはならないのです。ここは期待していただいても応えられない部分です。

ただし、代わりになる記録はあります

再発行はされませんが、行政が保存している記録を取ることはできます。主に次の2つです。

  • 建築計画概要書……確認申請のときの建物の概要が記録されたものです。配置図や各階の面積、建築主、設計者などが分かります。
  • 建築確認台帳記載事項証明書……確認申請が受理されたこと、そして完了検査を受けたかどうかが記録として残っているものです。

これらが取れると、状況が一段はっきりします。

  • そもそも確認申請が出されていたのか
  • 完了検査を受けていたのか、受けていなかったのか
  • 当時の建物の規模や配置が、今の現況と合っているか

「書類は失くしたが、検査は受けていた」と分かるのと、「そもそも検査を受けていなかった」と分かるのとでは、その後の進め方が変わります。

なお、いつからの記録が残っているかは自治体によって違います。古い建物ほど残っていない可能性が高くなります。それでも、調べてみる価値は十分にあります。

ここを確かめないまま「書類のない家」として売り出してしまうのは、もったいないと思っています。

影響の大きさは、買う方が誰かで決まります

検査済証がないことが問題になるかどうかは、買主がその家をどうしたいかで変わります。

買主がしたいこと影響の大きさ
そのまま住む(現金で購入)影響は比較的小さい
そのまま住む(住宅ローンを使う)金融機関や建物の状況により確認が必要
解体して建て替える影響は小さめ。新築時に改めて確認申請を行う
大きくリフォームしたい影響が大きい。2025年4月以降は特に注意が必要
増築したい既存建物の適法性確認を含め、手続きが重くなる可能性がある

建て替え前提の買主であれば、既存建物の書類が価格に与える影響は比較的小さく、土地として評価されることが多くなります。ただし、市街化調整区域の場合は、そもそも建て替えができるかという別の問題が先に来ます。

住宅ローンについて

インターネットで調べると「検査済証がないと住宅ローンが通らない」と書かれた記事がたくさん出てきます。

ただ、検査済証がないという一点だけで、必ず融資が受けられなくなるわけではありません。金融機関は、物件の担保評価、建物の現況、登記内容、法令への適合状況などを総合的に確認します。金融機関によって取扱いも異なります。

実際に売却の手前で問題になりやすいのは、増築部分が未登記になっているケースです。

金融機関は建物に抵当権を設定します。そのため、登記されている建物の内容と現在の建物が合っているかを確認します。あとから建て増した部分が登記されていなければ、融資の条件として、先に登記を整えるよう求められることがあります。

そして、ここが見落とされやすいところです。検査済証がない家では、増築時の手続きも確認できないことがあります。

つまり、検査済証がないことだけを見るのではなく、増築の未登記や建ぺい率・容積率の超過など、ほかの問題が隠れていないかを確認することが重要です。

増築が未登記だった場合の進め方は、Vol.25 親が増築してたみたい。未登記のままで売れる?に書いています。

2025年4月の法改正で、リフォーム目的の買主への影響が重くなりました

これが、今このテーマを取り上げている理由です。

2025年4月に建築基準法が改正され、いわゆる「4号特例」が縮小されました。木造住宅の区分が見直され、多くの戸建てが新しい区分に入っています。

区分対象大規模なリフォームのとき
新3号建築物木造平屋建てで、延べ面積200㎡以下原則として建築確認の対象外
新2号建築物木造2階建て以上、または延べ面積200㎡超建築確認が必要

春日井市の一般的な木造2階建ての戸建ては、新2号建築物に該当します。

改正後は、柱や梁など建物の主要構造部に大きく手を入れる工事を行う場合、建築確認が必要になることがあります。その手続きでは、既存建物の適法性について確認を求められるため、検査済証がないと追加の調査や資料が必要になる可能性があります。

つまり、以前なら「書類はないけれど、買ってから直せばいい」と考えていた買主でも、改修費や手続きにかかる時間を簡単には見通せなくなりました。売却時には、買主がどの程度のリフォームを考えているかも重要になります。

法改正そのものが古い家の売却にどう影響するかは、Vol.89 建築基準法改正で「売りにくい家」が増えているにまとめています。

検査済証がない建物にも、確認する方法はあります

検査済証がない建物については、国土交通省が示す「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に沿って、建築士や指定確認検査機関などへ調査を依頼する方法があります。

現況や残っている資料を確認し、建築基準法への適合状況を調べることで、大規模なリフォームや用途変更などの手続きに進める可能性があります。

ただし、調査には費用も時間もかかります。そして、その費用をかけた分だけ売却価格が上がるとは限りません。

売主が売却前にどこまで調査するべきかは、建物の状態と想定される買主によって変わります。最初から費用をかけるのではなく、まず行政に残っている記録と建物の現況を確認し、必要性を判断するのが現実的です。

隠さずに出した方が、結果的に損をしません

確認済証・検査済証の有無や未登記増築などは、売却手続きの中で確認される事項です。

  • 契約前の重要事項説明に向けて、不動産会社が書類の有無や建物の状況を調査する
  • 住宅ローンを利用する場合、金融機関が建物の登記内容や現況を確認する
  • 買主側の不動産会社も、必要に応じて行政調査を行う

したがって、遅い段階で問題が分かるほど、売主の負担が大きくなります。

売り出してから3か月後、ようやく買主が見つかったところで未登記の増築が判明する。登記や調査からやり直すことになり、買主が待てずに離れてしまう。この間に過ぎた時間は戻ってきません。

最初から分かっていれば、その条件を理解して購入できる買主に向けて売り出せます。価格の立て方や契約条件も変えられます。条件が悪いことより、途中で条件が変わることの方が、売主にとって高くつきます。

売却前に確認する順番

  1. 確認済証・検査済証・建築図面など、手元にある書類を確認する
  2. 行政で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を確認する
  3. 登記されている建物と現在の建物が一致しているか確認する
  4. 建ぺい率・容積率の超過や、手続きの不明な増築がないか調べる
  5. そのまま使う人、リフォームする人、建て替える人のどこを主な買主にするか決める
  6. 必要な調査や登記を、売主側でどこまで行うか判断する

書類が見つからないからといって、最初から売却を諦める必要はありません。一方で、調べずに「問題はない」と決めるのも危険です。まず現状を確認し、想定する買主に合わせて売り方を決めることが大切です。

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確認済証・検査済証の有無、行政に残っている記録、未登記の増築がないかを確認し、その建物に合った売り方を整理します。売ると決めていない段階でもご相談いただけます。建築年が分かる登記事項証明書や固定資産税の納税通知書があれば、お手元にご用意ください。見つからない場合も含めて確認します。

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