春日井シティ不動産のブログ
KASUGAI CITY REAL ESTATE
2026/10/04
Vol.134 春日井市の借地権・底地は売れる?第三者への売却が成立しにくい理由と、現実的な整理の進め方
「借地権って、売れるんですか?」
相続した実家が借地だった、親が高齢で先が見えない。そういうきっかけで、この質問をいただきます。
インターネットで調べると「借地権は売れます。方法は3つあります」と書かれています。①地主に買ってもらう、②第三者に売る、③地主と一緒に売る。間違いではありません。
ただ、春日井市のような郊外の住宅地では、このうち②はほとんど動きません。
そして、「借地権は売れますか」という同じ質問でも、借地権者(借りている側)なのか、地主(底地を持っている側)なのかで、答えがまったく変わります。
| 立場 | 現実的な出口 | 価格の見通し |
|---|---|---|
| 借地権者が手放したい | 地主に買ってもらう。実質ここが第一手 | 交渉次第。相場表は存在しません |
| 地主が底地を手放したい | 第三者(買取業者)への売却の見込みはあります | 更地価格から見ると、相当下がります |
| 双方が同時に動く | 完全所有権にして売る。一番きれいな形 | 合計額は最も大きくなります |
借地権者が手放したい場合|第三者に売る話は、郊外ではまず成立しません
借地権を第三者に売る。制度上はできます。地主の承諾を得れば、借地権は譲渡できます。
問題は、買う人がいるかどうかです。買う側の立場で考えると、理由がはっきりします。
- 住宅ローンが通りにくい。金融機関は土地に抵当権を設定したいので、地主の承諾が別途必要になります。承諾しない地主もいます
- 買ったあとも地代を払い続けます。更新料、建替え承諾料、譲渡承諾料と、将来の支出が見えています
- 土地が自分のものになりません。将来売るときも、また同じ苦労をします
借地権の値段は、その土地の価値で決まります
借地権は、土地そのものを持つ権利ではありません。その土地を使い続ける権利です。ですから借地権の価値は、下にある土地の価値に連動します。
東京や名古屋の中心部で借地権が流通しているのは、その土地に高い価値があるからです。借地であっても、その土地を使えるという権利そのものに値段がつく。だから買う人がいます。
春日井市の郊外の土地には、そこまでの価値がありません。土地の価値が高くないのに、地代を払い続け、何かあるたびに地主の承諾をもらい、それでも自分のものにはならない。その権利を買う理由が出てきません。
「借地だから売れない」のではありません。その土地にそこまでの価値がないから、借地権にも値段がつかない。順番はこちらです。
ですから、第三者向けに売り出しても問い合わせがほとんど入りません。これが現実です。
「借地権でも高く売れますよ」と言ってくれる会社があったら、どのくらいの期間で、どんな買主を想定しているのか、具体的に聞いてみてください。
だから「地主に買ってもらう」が現実的な第一手になります
第三者に買い手がつかないなら、残るのは地主です。そして地主にとって、借地権を買い戻すことには意味があります。
- 底地のまま持っていても、地代は固定資産税の数倍程度にしかなりません。収益としては小さいものです
- 借地権を買い戻せば完全所有権になり、土地の価値が一気に上がります
- 地主側も代替わりが近いことが多く、「次の代に面倒を残したくない」という動機があります
ただし、うまくいかないケースもはっきりしています
- 地主側に買い取る資金がない
- 相続で地主が複数人になっていて、話がまとまらない
- 過去の経緯で関係がこじれていて、そもそも話ができない
だからこそ、切り出し方が大事になります。ご自身で地主に話を持っていく前に、一度ご相談いただいた方が安全だと思っています。
譲渡承諾料の相場を調べる前に、確認することがあります
借地権を第三者に譲渡するときは、地主の承諾が必要です。そのときに支払うのが譲渡承諾料で、一般には「借地権価格の10%前後」と説明されます。
ただ、この数字が意味を持つのは、第三者に売れる場合だけです。
なお、地主に買ってもらう場合は譲渡承諾料そのものが発生しません。相手が地主だからです。
借地の価格について、きれいな相場表をお見せすることはできません。同じ春日井市内でも、契約内容、残存期間、地代の水準、建物の状態、そして地主との関係で、金額がまったく変わるからです。「借地権価格は更地価格の◯割」という計算式を持ち出す会社もありますが、実際の交渉はその通りに進みません。
地主が底地を手放したい場合|売れます。
ここからは、底地を持っている地主側の話です。
底地は、第三者に売れます。底地を専門に買う業者が存在するからです。借地権者側より、むしろ出口はあります。
ただし、価格は想像されている金額よりかなり低くなります。理由は3つです。
- 収入が小さい。地代は固定資産税の数倍程度のことが多く、投資物件として見ると利回りが出ません
- 自由に使えない。土地は自分のものでも、上に他人の建物が建っています。売るまで何もできません
- 借地人との交渉が面倒。買った業者も、最後は借地権者と話をまとめるしかありません。その手間とリスクが価格に反映されます
一方で、底地を持ち続けることにも負担があります。地代の集金、契約の更新、建替えの承諾、そして相続。次の代に同じ問題を渡すことになります。金額だけでなく、そこまで含めて判断されることをおすすめします。
借地人と地主が同時に動くと、話がまったく変わります
借地権と底地が一つにまとまれば、ただの所有権の土地になります。
そうなれば、普通の土地として市場に出せます。住宅ローンも使えますし、買主を探す苦労もありません。そして、借地権と底地を別々に売ったときの合計より、金額が大きくなります。借地と底地に分かれていること自体が、土地の価値を削っているからです。
借地権者にとっても地主にとっても、これが一番きれいな出口です。
ただし、成立する確率は高くありません
双方が「今、手放したい」と同じタイミングで思う必要があります。片方が「まだ考えていない」なら進みません。
そして、売却代金をどう分けるかで折り合う必要があります。ここで感情が入ると止まります。長い付き合いがあるからこそ、お金の話がしづらいこともあります。
ですから、最初からこの形を前提に動くことはおすすめしません。可能性としては低いと考えておいた方がいいです。
それでも、ゼロではありません。当社では実際に、この形で整理まで進んだ例があります。借地人と地主の双方に足を運んで、それぞれの事情を聞いて、少しずつ条件を近づけていく。時間はかかりますが、成立すれば両者にとって一番良い結果になります。
「どうせ無理だろう」と最初から外してしまうには、惜しい選択肢です。
契約期間が満了したら、借地は返さないといけないのか
「契約期間が終わったら出ていってほしい」と地主から言われた、という相談があります。
結論として、期間満了イコール返還ではありません。借地借家法では、借地人が更新を希望している場合、地主の側に正当事由がなければ更新を拒めないことになっています。また、契約書に「退去時に借地権は消滅する」といった条項が書かれていても、法律に反する内容であれば効力を持ちません。
逆に地主の立場からすると、「期間が来たから返してもらえる」と考えていると、思っていた話と違うことになります。
どちらの立場でも、まず契約書を確認するところからです。契約書が見当たらない、そもそも書面がない、というケースも珍しくありません。その場合も打つ手はあります。
関連:相談実績12|契約期間満了後の借地を返してほしい(春日井市・70代女性)
春日井市・名古屋北部での、実際の整理事例
借地と底地の整理は、一件ごとに事情が違います。どんな形で決着したのか、実例をご覧ください。
事例をまとめて読みたい方は、Vol.118 借地権・底地の実家、本当に整理できる?にまとめてあります。
なお、土地を手放さずに事業者へ貸すという選択肢もあります。こちらはVol.110 事業用定期借地という選択肢をご覧ください。
春日井・名古屋近郊の借地権整理のご相談承ります
借地と底地の話は、一人で考えていても結論が出ません。相手があることだからです。
そして、動き出す順番を間違えると、その後が難しくなります。関係性がこじれてしまった例は多々あります。
「売れます」とは言いません。この地域の借地は、価格も期間も、思っているより厳しいのが現実です。ただ、どこに出口があるのか、どのくらい時間がかかるのかは、状況を伺えば正直にお伝えできます。
春日井シティ不動産|借地権・底地のご相談
借地権者の方も、地主の方も、どちらからのご相談も承ります。まだ売ると決めていない段階で結構です。契約書がお手元にあれば、お話が早く進みます。
お電話:0568-87-3921
メールでのご相談:お問い合わせフォーム
監修者情報

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春日井シティ不動産株式会社
山本 直嗣
