春日井シティ不動産のブログ

KASUGAI CITY REAL ESTATE

  • TOP  >  
  • ブログ  >  
  • Vol.133 春日井市でハザードマップに色が付いた土地は買ってはいけない?|見るべき5つのポイント

2026/08/11

Vol.133 春日井市でハザードマップに色が付いた土地は買ってはいけない?|見るべき5つのポイント

春日井市で土地や中古住宅を探していて、気に入った物件が見つかった。念のためハザードマップを調べてみると、色が付いていた。

知りたいのは、この土地は買っても大丈夫なのか、やめておくべきなのか。

結論としては、色が付いているというだけで、買ってはいけない土地ということにはなりません。もちろん、「色が付いていても気にしなくていい」わけでもありません。大丈夫かどうかを分けるのは、色の濃さではなく別のところです。そしてそれは、市が配っているハザードマップを1枚見ただけでは分かりません。

この記事では、春日井市で家や土地を探している方に向けて、何を、どの順番で見れば判断できるのかを、市の公表資料と過去の実績データをもとに整理します。記事の後半では、売却を考えている方向けの視点にも触れます。

まず知っておきたい|春日井市のハザードマップは1枚ではありません

「ハザードマップを見ました」とおっしゃる方の多くが、実は1枚しか見ていません。春日井市で水害関連の資料は、少なくとも次のように分かれています。

  • 洪水ハザードマップ…西部・中部・東部の地区版があり、さらに1枚の中で「庄内川」と「その他の河川」の2つの地図に分かれています。つまり最低でも2つの地図を見る必要があります。
  • 雨水出水(内水)浸水想定区域図…洪水ハザードマップとは完全に別の資料です。全体図・分割図のPDFと、市のWEB地図「道風くんの春日井まっぷ」で公開されています。
  • 土砂災害ハザードマップ…主に東部の丘陵地が対象です。
  • 農業用ため池ハザードマップ…36池分が公表されています。南海トラフ巨大地震等でため池の堤防が決壊した場合の想定なので、豪雨とは別の災害です。ため池があるのは桃山町・西山町・東野町・東山町・大泉寺町・金ケ口町・庄名町・明知町・西尾町・廻間町・細野町・玉野町・木附町で、浸水が想定されるのはその下流側です。

洪水と内水は、水が来る仕組みがまったく違います。

  • 洪水(外水)…川があふれる、堤防が決壊するなどして、外から水が入ってくる現象。
  • 内水…降った雨を下水道や排水路が流しきれず、地面やマンホールから水があふれる現象。近くに川が一本もなくても起こります。

「近くに大きな川がないから大丈夫」という判断は、洪水の話しか見ていないことになります。実際、後述する平成23年の台風15号では、JR高蔵寺駅の地下空間やアンダーパスの冠水が起きています。これは川の氾濫ではなく内水によるものです。

色は「深さ」です。「起こりやすさ」ではありません

ここが最も誤解されている点です。色が濃い=よく浸かる、ではありません。「もし起きたら何メートル浸かるか」という深さだけを示しています。春日井市の洪水ハザードマップは5段階です。

浸水の深さ建物でいうとどこまでとるべき避難
0〜0.5m未満大人の膝下。床下浸水〜床上ぎりぎり建物の上の階への避難も可能
0.5〜1.0m未満1階の床上。畳や家電は使えなくなる建物の上の階への避難も可能
1.0〜3.0m未満1階が天井近くまで水没避難所等への避難が必要
3.0〜5.0m未満2階の床上まで来る避難所等への避難が必要
5.0m以上2階建てでは対応できない避難所等への避難が必要

「0.5m未満だから安心」と考える方は多いのですが、0.5mでも床上浸水になり得ます。逆に「色が濃いから住めない」という話でもありません。これは年超過確率でおおむね1000年に1回程度という、想定し得る最大規模の雨を前提にした数字だからです。

なお、ため池ハザードマップは色分けの刻みが違います。0〜0.5/0.5〜1.0/1.0〜2.0/2.0〜5.0/5.0m以上の5段階で、洪水の「1.0〜3.0」「3.0〜5.0」とはずれています。同じような色でも意味が違うので、凡例は地図ごとに毎回確認してください。

見るときに気を付けたい5つのポイント

1. 白い部分は「安全」ではなく「計算されていない」場合がある

洪水ハザードマップは、指定された河川があふれた場合だけを計算しています。たとえば西部地区版の「その他の河川」の対象は、大山川・西行堂川・八田川・生地川・地蔵川・新地蔵川・内津川です。名前のない小さな水路や農業用水路が詰まった場合は、この計算に入っていません。

内水の想定区域図についても、市自身が「着色のない所でも、雨の降り方によって浸水が発生する可能性があります」と明記しています。

2. 内水の図は「整備が完了した後」を前提にしている

これはあまり知られていませんが、重要な注記です。春日井市は雨水出水浸水想定区域図について、「現在行っている下水道事業等の整備完了後の状況を一部反映させているため、現況の整備状況ではありません」と説明しています。

つまり、あの図が示しているのはこれから整備が終わった後の姿であって、今この瞬間の状態ではないということです。今の実力はもう少し弱い可能性がある、と理解しておくのが正確です。

3. 内水の図は、洪水の地図と法的な位置づけが違う

不動産取引では、令和2年8月28日から水防法に基づく水害ハザードマップ(洪水・雨水出水(内水)・高潮)を示して、物件の位置を説明することが宅建業者に義務づけられています。春日井市は内陸なので、関係するのは洪水と内水の2つです。

ここで押さえておきたいのが、春日井市の2つの地図の位置づけの違いです。

  • 洪水ハザードマップ…市が「洪水ハザードマップは水防法に基づき作成されています」と明記しています。
  • 雨水出水(内水)浸水想定区域図…市が「水防法の規定に基づくものではなく、市独自で作成したもの」と明記しています(公表は令和3年6月1日)。

4. 深さより重い情報がある|家屋倒壊等氾濫想定区域

これは水深の問題ではなく、家そのものが流される、あるいは崩れることが想定される区域です。「2階に逃げれば大丈夫」が通用しない唯一の区域なので、色の濃さより重い情報といえます。

ただし、春日井市が配布している洪水ハザードマップ(令和3年3月作成)には、この区域の表示がありません。「載っていないから該当しない」ということではありません。市自身は立地適正化計画の資料でしっかり分析しており、次のように整理しています。

  • 氾濫流による区域…庄内川沿いの広範囲と、内津川沿いの一部
  • 河岸侵食による区域…各河川沿いの広範囲

確認するには、国土地理院の「重ねるハザードマップ」で洪水浸水想定区域を開き、家屋倒壊等氾濫想定区域のレイヤを表示させてください。川沿いの土地を検討している方は、色よりも先にここを見ることをおすすめします。

5. 同じ町内でも、数十センチの高低差で状況は変わる

ハザードマップの縮尺では、隣の区画との高低差までは表現できません。内見のときに、道路より土地が低くないか、周囲の家より基礎が低くないかを実際に目で見てください。地図より確かな情報になることがあります。

では、現実にはどのくらいの災害が起きているのか

ここが一番知りたいところだと思います。想定の話ではなく、春日井市で実際に起きたことを見てみます。

時期できごと春日井市の被害
平成3年9月19日
台風18号
内津川の堤防が決壊(林島町)床上浸水 1,051世帯
床下浸水 908世帯
平成12年9月11〜12日
東海豪雨
八田川が溢水床上浸水 622棟(うち住家364棟)
床下浸水 727棟
平成23年9月20日
台風15号
庄内川の水位上昇で避難勧告。内水氾濫によりJR高蔵寺駅の地下空間やアンダーパスが冠水市の記録に浸水被害の写真あり

この表を見て、意外に思われた方がいるかもしれません。春日井市にとって被害が最も大きかったのは、東海豪雨ではなく平成3年の台風18号です。

東海豪雨のほうが降った雨は明らかに多く、名古屋では総雨量567mm・最大時間雨量93mmを記録しています。それでも春日井市の床上浸水は、平成3年の約6割にとどまりました。

「1000年に1回」だけではない|30年に1回の想定もあります

ハザードマップに載っているのは想定最大規模(L2、1000年に1回程度)だけですが、河川の整備には計画規模(L1)という、もっと現実的な頻度の想定もあります。春日井市の立地適正化計画の資料に、次のように整理されています。

河川24時間雨量年超過確率
八田川・生地川・繁田川・新繁田川・うぐい川・大山川・西行堂川・地蔵川(下流)・新地蔵川277mm1/30
内津川・内津川放水路・大谷川・地蔵川(上流)316mm1/50
庄内川376mm1/200

30年に1回で277mm。東海豪雨の567mmの半分以下です。この規模なら、決して遠い話ではありません。1000年に1回の色だけを見て一喜一憂するより、こちらの数字のほうが生活実感に近いはずです。

庄内川については、頻度ごとの分析も公表されています

庄内川河川事務所は「水害リスクマップ」として、1/10から想定最大規模まで頻度別の浸水想定を公表しています。これに基づく春日井市の状況は、次のように整理されています。

  • 年超過確率1/100(中低頻度)では、TKJ味美駅付近のごく一部で浸水が想定される
  • 市内の大部分は、年超過確率1/200(低頻度)で浸水が想定される

つまり庄内川に関しては、100年に1回程度の雨では市内の大半は浸水想定に入らないというのが現在の分析結果です。ハザードマップの色から受ける印象と、実際の頻度感には、これだけの開きがあります。

浸水が「どれくらい続くか」も分かっています

深さと同じくらい生活に影響するのが、水が引くまでの時間です。ハザードマップには載っていませんが、データはあります。

  • 庄内川の想定最大規模で、広範囲が24時間未満の浸水継続
  • 長塚町・下津町付近に点在的に72時間未満(3日間)の浸水継続
  • その他の河川では、広範囲で12時間未満、一部で24時間未満

数日水が引かない地域と、半日で引く地域とでは、避難の準備も復旧の負担もまったく違います。深さの色が同じでも、ここは差がつくところです。

これまでの春日井市の治水事業について

平成3年と平成12年のあいだに、春日井市では大きな治水事業が完了しています。

  • 平成6年…都市河川内水対策特別緊急事業により、内津川放水路の開削事業に着手
  • 平成9年内津川放水路が完成(内津川の水を分流して庄内川へ流す)

内津川が決壊した平成3年の教訓を受けて整備されたものです。ハザードマップに「内津川放水路」「地蔵川放水路」という川が描かれているのは、このためです。

ただし、ここは正直に書きます。雨の降り方や降る場所が違うため、平成3年と平成12年の被害の差が、そのまま治水事業の効果だと断言することはできません。放水路が効いた可能性は高いと考えられますが、因果関係を証明できるデータはありません。

治水は今も進んでいます。ただし「絶対」ではありません

現在も春日井市は、国・愛知県と連携した「庄内川水系流域治水プロジェクト」に基づく取組を続けています。国土交通省の資料によれば、主な内容は次のとおりです。

  • 松河戸調整池の増強(8,000㎥ → 16,000㎥
  • 熊野桜佐地区の雨水1号調整池の整備
  • 南部ポンプ場・勝西ポンプ場などの新設・増強・機能強化
  • 雨水排水網の新設・増強、ため池の活用
  • 各家庭への雨水貯留浸透施設の補助(家庭雨水利用促進補助)

ここで、この記事で最もお伝えしたい数字が出てきます。

春日井市が目標としている整備水準
10年確率降雨(1時間あたり63mm)に、気候変動による降雨量変化倍率1.1倍を考慮した雨水流出量に対して、内水浸水被害が発生しない整備を目指す。

一方、内水ハザードマップが想定している雨
最大1時間あたり147mm

つまり、計画されている整備がすべて完了したとしても、ハザードマップが想定している雨には2倍以上届きません。

これは春日井市の努力が足りないという話ではありません。1000年に1回の雨に耐えるインフラを全国どこにでも整備することは、現実的に不可能だからです。だからこそハザードマップという「起きたときの備え方を知るための地図」が配られています。

治水は着実に進んでいる。しかし絶対ではない。この両方を同時に理解しておくのが、いちばん現実的な受け止め方だと考えています。

買主として、実際にどう判断すればいいか

確認する順番

  1. 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないか(重ねるハザードマップ)。ここだけは性質が違います。
  2. 洪水ハザードマップの「庄内川」と「その他の河川」の両方で色を確認する。
  3. 雨水出水(内水)浸水想定区域図を確認する(洪水の地図とは別に公開されています)。
  4. 東部の丘陵地なら土砂災害警戒区域を確認する。ため池の下流にあたる地域ならため池ハザードマップも。
  5. 避難所までの経路を確認する。地図には「浸水が想定される避難所」も記号で示されています。

内見のときに自分の目で見ること

  • 前面道路と敷地の高低差(低い側になっていないか)
  • 周囲の家と比べた基礎の高さ
  • 近くの水路・側溝の断面(明らかに細くないか)
  • アンダーパスを毎日通る動線になっていないか(通勤・通学路)。市の分析では多くのアンダーパスで3.0m以上の浸水が想定されています。家が無事でも、道が使えなければ生活は止まります
  • エアコン室外機・給湯器・分電盤の位置(浸水すると生活復旧が長引きます)

火災保険の水災補償も確認しておく

令和4年10月から、火災保険の水災補償に水災リスクによる区分が導入され、地域によって保険料に差が出るようになりました。具体的な金額や区分の運用は保険会社ごとに異なりますので、購入を具体的に検討する段階で、保険代理店に見積りを取ってみることをおすすめします。物件価格だけでなくランニングコストとして見ておくと、判断が現実的になります。

いちばん大事な考え方

ハザードマップは「住めない場所」を示す地図ではありません。「備え方を変えるべき場所」を示す地図です。

春日井市は市域の広い範囲に何らかの色が付いています。色が付いている土地をすべて外していたら、選べる物件はほとんど残りません。実際、色の付いた区域にも住宅は建ち、日々売買されています。

大切なのは、その土地でどう暮らすかを知ったうえで選ぶことです。深さ0.5m未満の区域なら2階に上がれば足りるのか、避難所まで何分かかるのか、車はどこに逃がすのか。それが分かっていれば、色が付いていること自体は判断材料の一つに過ぎません。

【売却を考えている方へ】色が付いていても、売れなくなるわけではありません

ここからは売主の方向けの補足です。

令和2年8月28日から、宅地建物取引業者には水害ハザードマップ上で物件の位置を示して説明する義務が課されています。買主に伝わらないまま契約が進むことはありませんし、近年は買主ご自身が確認したうえで内見に来られるケースがほとんどです。

ただ、経験上申し上げると、色の濃さそのものが価格に直結することは多くありません。周辺一帯が同じ条件であれば、それはすでに相場に織り込まれているからです。影響が出やすいのは、家屋倒壊等氾濫想定区域に該当するか、過去に実際の浸水実績があるか、周囲と比べて明らかに低い土地か、といった個別の事情のほうです。

だからこそ、売主側が先に把握しておくことに意味があります。あとから指摘されて慌てて値引きするのと、最初から織り込んだ価格で堂々と出すのとでは、結果がまったく違ってきます。

よくある質問

色が付いている土地は、住宅ローンが通りにくくなりますか

浸水想定区域に入っているというだけで一律に融資が受けられなくなる、という取扱いは一般的ではありません。ただし金融機関ごとの判断があり、家屋倒壊等氾濫想定区域など性質の異なる区域では扱いが変わる可能性もあります。具体的な物件で気になる場合は、事前審査の段階で金融機関に直接確認してください。

盛土をすれば大丈夫でしょうか

敷地を上げれば自分の家の浸水は避けやすくなりますが、その分の水は周囲に行きます。近隣とのトラブルにつながることもありますし、開発の規制がかかる場合もあります。造成の可否と方法は、市の担当課や施工会社に確認したうえで判断してください。

ハザードマップは更新されますか

されます。現在の春日井市の洪水ハザードマップは令和3年3月作成です。河川の想定が見直されたり治水事業が進んだりすると改訂されますので、古い印刷物をお持ちの場合は市のホームページで最新版を確認してください。

地番単位で正確に知りたい場合は

地図の縮尺では番地単位の判断が難しいことがあります。その場合は春日井市建設部河川排水課に地番で直接照会するのが確実です。その土地が安心できる・できないの絶対的な回答は得られませんが、ハザードマップ内のどの想定地域に該当するかは確認できます。

まとめ

  • 春日井市のハザードマップは1枚ではない。洪水(庄内川/その他の河川)と内水は別の地図
  • 色は深さであって、起こりやすさではない。前提は1000年に1回程度の雨。
  • 白は「安全」ではなく「計算されていない」場合がある。
  • 内水の図は整備完了後を前提にしており、市独自で作成されたもので洪水の地図とは位置づけが違う。買主は自分でも見る。
  • 深さより重いのは家屋倒壊等氾濫想定区域。市の地図には載っていないので重ねるハザードマップで確認。
  • 春日井市で被害が最大だったのは東海豪雨ではなく平成3年の内津川決壊。その後、内津川放水路が完成している。
  • 治水は進んでいるが、市の整備目標は時間63mm、内水の想定は時間147mm。絶対ではない。
  • ハザードマップは「住めない場所」ではなく「備え方を変えるべき場所」を示す地図。

参考リンク(出典)

この記事の数字とデータは、いずれも次の公的な資料に基づいています。ご自身の土地を調べるときにも、そのまま使えます。

計画規模の想定雨量、水害リスクマップ、浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域の分布は、春日井市立地適正化計画の検討資料「資料3:防災指針の作成について」によります。治水事業の内容(松河戸調整池の増強、整備目標の1時間63mmなど)は、国土交通省中部地方整備局 庄内川河川事務所が公表している庄内川水系流域治水協議会の資料「気候変動を踏まえた新たな取組の方向性【春日井市】」によります。いずれも市・国が公表している資料です。

関連記事

💬 「ハザードマップに色が付いている土地なんだけど、正直どうなの?」
買うときも売るときも、良い面と気になる面を両方そのままお伝えします。「大丈夫です、売れます」と安請け合いはしません。春日井市・名古屋市守山区の土地や空き家のことで気になっている点を、正直に教えてください。
👉 LINEで気軽にご相談ください

  • 前の記事へ
  • 一覧へ戻る

監修者情報

無料査定依頼

売却方法はこちら

トップに戻る