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2025/03/26

Vol.49 事故物件でも売れる?自殺・孤独死・自然死の告知義務と売却方法を解説

「親が自宅で亡くなった家は、事故物件になりますか?」

「昔、自殺があった家でも売れるのでしょうか?」

不動産の売却相談では、とても答えにくく、所有者自身も相談しづらいテーマです。

結論から言えば、人が亡くなった不動産でも売却はできます。

ただし、「売れる」ということと「普通の物件と同じ価格で売れる」ということは別の話です。

自殺や事件など、買主に心理的な抵抗が生じる物件では、通常の相場より価格を下げないと売れないことが多いのが実際です。

一方で、家の中で人が亡くなったからといって、何でも「事故物件」として扱われるわけでもありません。

自然死なのか、自殺・他殺なのか。特殊清掃が行われたのか。いつの出来事なのか。どこで亡くなったのか。

こうした事情によって、買主への告知や価格への影響は変わります。

この記事では、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を踏まえながら、春日井市で実際に不動産を売る場合にどう考えればいいのかを解説します。

そもそも「事故物件」とは?

「事故物件」という言葉はよく使われますが、法律で明確に定義された正式名称ではありません。

一般には、自殺・他殺など、人の死に関する事情によって買主や借主が心理的な抵抗を感じる可能性がある不動産を「事故物件」と呼ぶことがあります。

ただし、家の中で人が亡くなった=すべて事故物件、すべて告知が必要というわけではありません。

自然死・病死でも買主に伝えないといけない?

国土交通省のガイドラインでは、居住用不動産で発生した老衰や病気による自然死、日常生活の中で起きた転倒・誤嚥などの不慮の死については、原則として宅地建物取引業者が買主・借主へ告げなくてもよいとされています。

ですから、

「親が自宅で病気で亡くなった。もう普通には売れないのでは?」

と必要以上に心配する必要はありません。

死亡の状況売買での基本的な考え方
老衰・病死などの自然死原則として告げなくてもよい
転倒・誤嚥など日常生活での不慮の死原則として告げなくてもよい
自殺・他殺など買主の判断に重要な影響を及ぼすため、告知が必要
自然死等でも特殊清掃等が行われた個別に慎重な判断が必要

⚠️ 「自然死なら絶対に告知不要」と決めつけない

自然死や日常生活での不慮の死でも、長期間発見されず特殊清掃等が行われた場合などは扱いが変わります。また、買主から死亡事案について質問された場合や、社会的影響が大きく買主が把握しておくべき特段の事情がある場合なども、個別に判断する必要があります。

孤独死はすべて「事故物件」になる?

これも一律ではありません。

一人暮らしの方が自宅で病気や老衰によって亡くなった場合、死亡原因としては自然死です。

一方で、発見まで長期間が経過し、特殊清掃や大規模なリフォーム等が必要になった場合には、買主の判断に影響する可能性があります。

つまり、「孤独死だったか」だけではなく、死因・発見までの状況・特殊清掃等の有無などを確認することが重要です。

「3年経てば告知しなくていい」は売買には当てはまらない

事故物件について調べると、「3年経てば告知しなくていい」という情報を見ることがあります。

ここは注意してください。

国土交通省のガイドラインで「概ね3年間」という期間が示されているのは、一定の死亡事案についての賃貸借取引です。

不動産の売買について「3年経過すれば告知しなくてよい」という一律の期間は示されていません。

10年前、20年前の出来事だから、自動的に告知不要になると単純には判断できないということです。

売買の場合は、事案の内容、経過年数、事件性、周知性、社会的な影響などを踏まえて判断します。

💡 売主自身で「これは言わなくていい」と判断しない

人の死に関する告知は、事情によって判断が変わります。売却を考えた段階で、知っている事実を不動産会社へ伝え、どこまで確認・説明するべきか整理する方が安全です。

事故物件は、やはり価格を下げないと売れない?

ここは売主さんにとって一番気になるところだと思います。

結論から言えば、自殺や事件など、買主に心理的な抵抗が生じる物件は、通常の物件より価格を下げないと売れないことが多いのが実際です。

「事故物件でも売れます」と聞くと、普通の相場と同じように売れると思われるかもしれません。

しかし、そこまで簡単ではありません。

同じ地域、同じ広さ、同じ築年数の物件が同じ価格で売りに出ていれば、多くの買主は、あえて心理的な抵抗のある物件を選びません。

それでも購入を検討してもらうには、価格を含めて「この条件なら検討したい」と思ってもらえる理由が必要になります。

💡 「売れる」と「相場と同じ価格で売れる」は別の話です

事故物件でも買主はいます。ただし、買主は心理的な抵抗だけでなく、自分が将来売却するときのことまで考えて価格を判断します。そのため、通常の物件より価格調整が必要になるケースが多いと考えておいた方が現実的です。

では、どれくらい価格を下げればいい?

ネットでは、「孤独死なら○%」「自殺なら○%」「他殺なら○%」といった目安を見ることがあります。

しかし、実際の査定で「自殺だから一律○割下げる」という決め方はできません。

価格への影響は、次のような条件で大きく変わります。

  • 自然死・自殺・他殺など死亡の原因と状況
  • 発生してからどれくらい経過しているか
  • 建物内・敷地内のどこで発生したか
  • 特殊清掃や大規模な修繕が必要だったか
  • 事件として報道されたか
  • 近隣にどの程度知られているか
  • 建物をそのまま利用するのか、解体して土地として利用するのか
  • その地域・物件自体の需要がどれくらいあるか

たとえば、かなり昔の出来事で建物もすでに解体されている土地と、最近室内で起きた死亡事案では、買主の受け止め方は当然違います。

また、非常に需要の高い土地なら価格調整によって買主が見つかる可能性がありますが、もともと需要が弱い物件では、告知事項が加わることでさらに売却が難しくなることもあります。

ですから査定では、まず「告知事項がなければ、この不動産はいくらなのか」を確認します。

そこから、事案の内容と実際の買主の反応を想定し、どの程度価格を調整すれば市場で検討してもらえるのかを考えます。

事故物件は「価格を下げれば必ず売れる」わけでもない

もう一つ、売主さんには知っておいてほしいことがあります。

事故物件は価格を下げれば簡単に売れる、というものでもありません。

人によっては、いくら安くても購入しないからです。

一方で、次のような買主であれば検討できる場合があります。

  • 価格条件を重視する人
  • 過去の出来事をあまり気にしない人
  • 建物を解体して土地として利用する人
  • 事業目的で利用する人
  • 不動産会社などの事業者

つまり事故物件の売却では、単に値段を下げるだけではなく、「誰ならこの物件を買えるのか」を考えて販売することが重要です。

当社でも、同じようなケースはあります

当社でも20年以上不動産売買に携わる中で、人の死に関する事情が売却に影響するケースを見てきました。

ただし、「事故物件ならこのくらい下がる」と一律に言えるものではありません。

かなり昔の出来事なのか、最近の出来事なのか。建物をそのまま使うのか、解体して土地として使うのか。周囲にどの程度知られているのか。

条件によって買主の反応は変わります。

ただ、実務をしている立場から言えば、心理的な抵抗が大きい事案ほど、通常の相場より価格を下げないと買主を見つけにくくなるのは現実です。

だからこそ、最初から根拠なく大幅に値下げするのでも、逆に「事故物件でも普通に売れる」と考えるのでもなく、事案ごとに売れる価格を探る必要があります。

20年前の出来事でも問題になることがある

以前、当社が実際に扱った土地売買でも、取引を進めている途中で「20年ほど前にこの場所で自殺があったのではないか」という話が出てきたことがあります。

かなり昔の話で、最初からはっきり分かっていた事実でもありませんでした。

それでも、不動産売買では「昔のことだから関係ない」と簡単には片付けられません。

何が事実なのか。売主は何を知っているのか。買主へどのように伝えるのか。

一つずつ整理して取引を進める必要があります。

このときの経緯は、Vol.74「20年前の自殺疑惑」が発覚した土地売買の顛末で詳しく書いています。

リフォームや解体をすれば事故物件ではなくなる?

リフォームや建物の解体によって、見た目や利用方法を変えることはできます。

しかし、リフォームや解体をしたから、過去の出来事そのものがなくなるわけではありません。

また、売却価格を上げるために先に多額のリフォーム費用をかけても、その費用を売却価格で回収できるとは限りません。

古家の場合なら、建物をリフォームするより、解体を前提として土地として売却した方が買主を見つけやすいこともあります。

ただし、これも先に工事をすることが正解とは限りません。現状で査定し、買主と売却方法を想定してから判断する方がいいでしょう。

仲介で売るか、不動産会社に買い取ってもらうか

告知事項がある不動産でも、一般の買主へ仲介で売却する方法と、不動産会社が直接買い取る方法があります。

仲介買取
売却価格市場で買主を探すため、買取より高く売れる可能性がある再販リスク等を業者が負担するため、仲介より低くなるのが一般的
買主主に一般の個人など不動産会社
売却期間買主が見つかるまで時間が必要条件が合えば比較的早く進めやすい
向いているケース時間をかけても市場で売却可能性を探りたい早く整理したい・一般市場では買主を見つけにくい

事故の内容によって一般の買主を探すことがかなり難しい場合には、価格は下がっても不動産会社による買取が現実的な解決策になることがあります。

逆に、告知事項があるからといって最初から買取しかないわけでもありません。

仲介ならいくらで、どのくらいの期間が想定されるのか。買取ならいくらになるのか。

両方を比較してから決めるのがいいと思います。

仲介と買取の違いについては、Vol.59「不動産の『買取』と『仲介』どちらで売るべき?」でも詳しく解説しています。

売主が最初にやることは「知っている事実を整理する」

人の死に関する事情がある不動産を売る場合、最初から「事故物件かどうか」を自分で決める必要はありません。

まず、分かる範囲で次のことを整理してください。

  • いつ頃の出来事か
  • どこで亡くなったか
  • 分かっている死因・状況
  • 発見まで時間がかかったか
  • 特殊清掃等を行ったか
  • リフォーム・修繕を行ったか
  • 新聞やネット等で報道されたか
  • 近隣で知られている事情があるか

分からないことがあっても構いません。

分からないことを推測で埋めず、「分かっていること」と「分からないこと」を分けることが大切です。

不動産会社はどこまで調査する?

国土交通省のガイドラインでは、宅地建物取引業者に対して、人の死について周辺住民への聞き込みやインターネット検索などを自発的に行うことまで通常求めているわけではありません。

一方で、売主には告知書などを通じて、知っている事実を確認します。

そのため売主としては、「不動産会社が勝手に全部調べてくれるだろう」ではなく、自分が知っていることを正確に伝えることが重要です。

告知することは「売れなくすること」ではない

売主からすると、告知すれば価格が下がったり、買主が離れたりするのではないかと不安になると思います。

実際、告知によって購入を見送る人もいますし、価格交渉になることもあります。

しかし、不動産売買でより避けたいのは、必要な説明をせずに売却した後で問題になることです。

告知が必要な事案であれば、内容を整理して買主へ説明し、それを理解したうえで購入してもらう。

その前提で価格と売却方法を考えることが、結果的に売主にとっても安全な取引につながります。

💡 隠さない。でも必要以上に怖がらない。

告知事項がある不動産は、普通の物件より売却が難しくなることがあります。ただ、それだけで「売れない」と決まるわけでもありません。事実関係、通常の査定価格、想定する買主を整理して、現実的に売れる条件を探していくことが大切です。

まとめ|事故物件でも売れる。ただし、普通の売却とは違う

  • 人が亡くなった不動産でも売却はできる
  • 自然死・日常生活での不慮の死は原則として告げなくてもよい
  • 特殊清掃等が行われた場合などは個別に判断する
  • 自殺・他殺などは買主の判断に重要な影響を及ぼす場合に告知が必要
  • 売買には「3年経てば告知不要」という一律の期限はない
  • 心理的な抵抗が大きいほど価格調整が必要になるケースが多い
  • ただし「事故物件なら一律○割引」とは決められない
  • 価格を下げても買わない人はいるため、買主の想定も重要
  • 仲介だけでなく不動産会社による買取が現実的な選択になる場合もある
  • 売主は知っている事実を不動産会社へ正確に伝える

事故物件の売却で避けたいのは、ネットの情報だけを見て「普通に売れる」「半額にしないと売れない」「昔のことだから言わなくていい」と決めてしまうことです。

まず、告知事項がなければいくらの不動産なのかを査定する。

次に、何が起きたのかを整理する。

そして、誰なら買う可能性があるのか、どこまで価格を調整する必要があるのかを考える。

「売れるか、売れないか」ではなく、「どの条件なら売れるのか」を探す。

事故物件の売却では、そこが重要だと思います。

春日井市で事故物件・告知事項のある不動産を売りたい方へ

「親が家で亡くなったけど、売れる?」

「昔の自殺まで買主に伝える必要がある?」

「事故物件だと、実際いくらくらい安くなる?」

こうした相談は、まだ売却すると決めていない段階でも構いません。

春日井シティ不動産では、まず分かっている事実を整理し、通常ならいくらの不動産なのかを査定します。そのうえで、告知内容、価格への影響、仲介で売る場合、買取の場合を比較して売却方法を考えます。

春日井市の事故物件・告知事項のある不動産の売却相談

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